サービス業とは?代表的な業界・職種と向いている人の特徴

サービス業は一般的に馴染みのある職業ですが、どのようなものを指すのかを具体的に理解している人は少ないかもしれません。サービス業は非常に幅の広い職業で、実はさまざまな職種の総称として使われている言葉です。この記事では、サービス業の概要のほか代表的な業界や職種、就職する方法についてご紹介します。
サービス業とは?接客業との違いは?
まずは、サービス業の概要とよく間違えられやすい接客業との違いについて解説します。
サービス業とは?
サービス業とは、形のない価値(サービス)を提供する産業のことを指します。商品(モノ)を販売するのではなく、利便性、快適さ、体験、知識、技術を提供するのが特徴です。詳しくは以下でご紹介しますが、接客業・販売業・事務職・営業職などが該当します。
サービス業と接客業の違い
「サービス業と接客業は同じもの」と理解している方もいるかもしれませんが、「物ではなくサービスを提供する」という性質から、サービス業の方がより広い概念です。接客業は、サービス業の中でも人と接する「接客」を伴う業種を指し、サービス業の中の代表的な業種のひとつといえます。
サービス業の代表的な業界・職種
サービス業に分類される、代表的な業界や職種についてご紹介します。
代表的なサービス業9選
サービス業は多岐にわたり、私たちの生活を支える重要な産業です。代表的なものとして以下の9つの分野があります。
宿泊業、飲食サービス業
ホテルや旅館、ゲストハウスなどの宿泊施設と、レストラン、カフェ、居酒屋といった飲食店が含まれます。宿泊業では快適な滞在環境を提供し、飲食サービス業では食事や飲み物を提供することで、人々の生活や観光、ビジネス活動を支えています。接客を伴う接客業がメインとなるのが特徴です。
生活関連サービス業、娯楽業
美容院や理容室、クリーニング、葬祭業などの日常生活をサポートするサービスと、映画館、遊園地、スポーツクラブ、カラオケ、テーマパークといった娯楽施設が含まれます。日常の利便性を向上させたり、余暇を楽しむための場を提供したりすることが主な目的です。サービスの質や施設の快適さが重要な要素となります。また、生活用品やアパレル商品を販売する店舗の販売員もサービス業に含まれます。
教育、学習支援業
学校や学習塾、資格取得のためのスクール、企業向けの研修、家庭教師などが含まれます。幼児から成人まで幅広い年齢層を対象に、知識やスキルを習得する機会を提供することが目的です。特に近年では、オンライン教育やeラーニングの需要が高まっています。
医療、福祉
病院、診療所、歯科医院、介護施設、訪問介護、保育施設が含まれます。人々の健康を維持・改善し、生活の質を向上させるために、医師、看護師、介護士が活躍する業界です。高齢化社会が進む中で、特に介護や福祉サービスの需要が増加しています。
サービス業(他に分類されないもの)
人材派遣、警備業、清掃業、広告業、イベント企画、コールセンターなど、他のカテゴリーに分類しにくい多様な業種が含まれます。企業や個人のさまざまなニーズに応じた専門的なサービスを提供するのが特徴で、柔軟な対応力が求められる業界です。
情報通信業
インターネット関連企業、ソフトウェア開発、ウェブサービス、テレビやラジオ放送、出版社、通信インフラを提供する企業が含まれます。デジタル化が進む現代において、情報を提供したり通信ネットワークを支えたりする重要な産業です。テクノロジーの発展とともに、新しいサービスやビジネスモデルが次々と生まれています。
運輸業、郵便業
鉄道、バス、タクシー、航空会社、物流会社、郵便サービスが含まれます。人や物を安全かつ効率的に運ぶことを目的とし、経済活動や日常生活の基盤を支える業界です。近年では、EC(電子商取引)の拡大に伴い、宅配サービスの需要が急増しています。また、流通業界内での軽作業や事務職もサービス業に含まれます。
学術研究、専門・技術サービス業
大学の研究機関、民間の研究所、法律事務所、会計事務所、建築設計事務所、コンサルティング会社が含まれます。高度な専門知識や技術を活用して、企業や個人に対してアドバイスや技術的な支援を提供するのが特徴です。特に、データ分析やAI(人工知能)の活用が進む中で、研究開発の重要性が高まっています。
代表的なサービス業の職種3選
サービス業の中でも、代表的な職種は以下の3つです。
販売職
販売職は、店舗やオンラインで商品やサービスを顧客に提供する仕事です。スーパーや百貨店の販売スタッフ、アパレルショップの店員、家電量販店の販売員が含まれます。接客スキルや商品知識が求められるほか、顧客のニーズを的確に把握し、最適な提案をする力が重要です。ECサイトの運営やカスタマーサポートも、販売職の一部として位置づけられることがあります。
▶主な仕事内容
接客・商品説明:顧客の要望を聞き、最適な商品を提案する
レジ業務:会計処理、支払い方法の対応(現金、クレジットカード、電子マネー)
商品管理:在庫管理、品出し、陳列、棚卸し
お申し入れ対応:顧客からの問い合わせやお申し入れの対応
販売促進:ディスプレイの工夫やセールイベントの企画・運営
▶代表的な職種
アパレル販売員(ファッションブランド、セレクトショップ)
家電販売スタッフ(家電量販店、専門店)
飲食店スタッフ(レストラン、カフェ、ファストフード)
百貨店・スーパーの販売員(食品、雑貨、化粧品)
ECサイト運営・カスタマーサポート(ネットショップ、通販事業)
事務・営業職
事務職は、企業のバックオフィス業務を担い、データ入力、書類作成、顧客対応、経理処理を行います。一方、営業職は商品やサービスを顧客に提案し、契約を獲得する役割を担います。営業職には、法人向けのBtoB営業や個人向けのBtoC営業があり、コミュニケーション能力や交渉力が求められます。特にサービス業では、顧客との信頼関係を築くことが成功の鍵となります。
事務職
企業のバックオフィスを支え、データ管理や書類作成、問い合わせ対応を行います。正確さやスピードが求められる仕事です。
▶主な仕事内容
データ入力・管理:顧客情報や売上データの整理
書類作成:請求書、契約書、報告書などの作成
電話・メール対応:社内外の問い合わせ対応
スケジュール管理:会議の調整、出張手配
備品管理:オフィス用品の発注・管理
▶代表的な職種
一般事務(データ入力、書類作成)
営業事務(営業サポート、見積書作成)
人事・総務(採用業務、福利厚生管理)
経理事務(会計処理、給与計算)
営業職
営業職は、企業の売上に直接関わる仕事で、顧客に対して商品やサービスを提案し、契約を獲得する役割を担います。
▶主な仕事内容
顧客の開拓:新規顧客のリサーチやアプローチ
ヒアリング・提案:顧客のニーズを聞き、最適な商品やサービスを提案
見積書・契約書の作成:取引に関する書類の準備
アフターフォロー:納品後のフォローアップや追加提案
市場調査・マーケティング:競合分析やトレンド把握
▶代表的な職種
法人営業(BtoB):企業向けの営業(IT、広告、メーカー)
個人営業(BtoC):一般消費者向けの営業(保険、不動産、自動車)
ルート営業:既存顧客への提案・フォロー
インサイドセールス:電話やオンラインでの営業活動
クリエイティブ職
クリエイティブ職は、デザインやコンテンツ制作、広告・マーケティングなど、創造的な業務を担う職種です。グラフィックデザイナー、Webデザイナー、動画クリエイター、ライター、広告プランナーが該当します。サービス業では、企業のブランディングや販促活動において、魅力的なコンテンツを作り出すことが重要視されます。デジタル技術の発展により、SNSマーケティングや動画制作の需要が高まっています。
▶主な仕事内容
グラフィックデザイン:広告、ポスター、パンフレットの制作
Webデザイン:企業サイトやECサイトのデザイン・構築
動画制作:CM、YouTubeコンテンツ、PR動画の編集
ライティング:ブログ記事、SNS投稿、コピーライティング
マーケティング企画:ブランド戦略、広告キャンペーンの立案
▶代表的な職種
アパレルデザイナー(衣料品のデザイン)
テキスタイルデザイナー(衣料品やインテリアの布地(テキスタイル)のデザイン)
グラフィックデザイナー(広告・ポスター・パッケージデザイン)
Webデザイナー・UI/UXデザイナー(ウェブサイトやアプリのデザイン)
動画クリエイター(映像編集、アニメーション制作)
ライター・編集者(記事執筆、コンテンツ企画)
広告プランナー(SNS広告、デジタルマーケティング戦略
ここでは、サービス業の代表的な3つの職種をご紹介しましたが、技術職・専門サービス職・公共サービス職など、このほかにもさまざまな職種があります。サービス業に興味をお持ちの方は、どのような職種があるのかを以下のサイトを参考に探してみましょう。
サービス業に向いている人の特徴と就職する方法
サービス業は、人と接する機会が多く、顧客の満足度を高めることが重要な仕事です。そのため、人と接するのが好きな人、人との関わり合いにやりがいを感じる人は、スムーズに活躍できる可能性があります。また、就職方法も多様で、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことができます。最後に、サービス業に向いている人と就職する方法について簡単にご紹介します。
サービス業に向いている人は?
コミュニケーションが好き
アパレル店舗の販売員、飲食店や娯楽施設の接客業、営業、カスタマーサポートなど、サービス業には接客を伴う職種が多々あります。「人と接するのが苦にならない」「相手の気持ちを考えながら会話ができる」「笑顔で接客ができる」といった、コミュニケーションが好きな方はサービス業に向いているといえます。
協調性がありチームワークを意識して働ける
サービス業は、チームで働くことが多く、周りのスタッフと協力しながら業務を進める必要があります。個人プレーよりも、仲間と一緒に目標を達成することにやりがいを感じる人に向いています。また、自分の業務のことだけでなく、チーム全体を見ながら、効率的に仕事を進める方法を考えられる人にもぴったりな職種といえます。
臨機応変な対応ができる
販売、接客、営業、事務などのサービス業の職種では、想定外のトラブルや急な対応が発生することが多いため、その場に応じた適切な判断が求められます。お客様からのクレーム対応や、急なオーダー変更に冷静に対応できる人の方が活躍しやすいといえるでしょう。「突然のトラブルにも冷静に対応できる」「お客様の状況を見て、柔軟に対応できる」「プレッシャーがかかる状況でも落ち着いて行動できる」といった方は、サービス業に向いているといえるでしょう。
サービス業に就職する方法は?
アルバイト・パート
サービス業には、アルバイトやパートの求人が多くあります。未経験からでもチャレンジしやすいほか、仕事の量も正社員などに比べると少ないため、自分のペースで働くことができます。また、毎月シフトを提出して働く時間や日数を決めることができるため、副業やプライベートとの両立を検討している方にもおすすめの働き方です。
正社員
サービス業は職種が多岐に渡るため、正社員の求人も多くあります。アルバイト・パートや以下でご紹介する派遣社員に比べて労働時間や責任が大きくなる傾向がありますが、その分裁量も大きく、さまざまな仕事にチャレンジできます。スタッフや店舗・サービスの管理を任されることも多いため、マネジメント業務に興味があり、将来的にはキャリアアップを検討している方におすすめです。
派遣社員
接客・販売、事務職、流通企業での軽作業、営業職などの分野では、派遣社員として活躍している方も少なくありません。人材派遣会社を活用することで、各業界や職種に精通したスタッフからのアドバイスを受けられるほか、一般募集には掲載されない非公開の求人を紹介してもらえることもあるため、、自分に合った求人を見つけやすくなるといえるでしょう。また、派遣社員は、勤務時間や仕事の範囲が限定されていることが多いため、仕事とプライベートの両立を検討している方にもおすすめです。
まとめ
サービス業とは「物」ではなく「サービス」を提供する産業を指す言葉です。非常に広い概念で、サービス業には多くの業界や職種が含まれています。サービス業界で働きたいと考えている方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。