日雇い派遣と単発バイトの違いは?それぞれのメリット・デメリットや注意点を解説

日雇い派遣と単発バイトはどう違うの?などと疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
今回は、それぞれの概要やメリット・デメリットのほか、働き方を選ぶ際の注意点についてもご紹介します。
ショットワークやスポットワークをしたいと検討中の方は、ぜひ確認してみてください。
日雇い派遣とは?
まずは、日雇い派遣という働き方の概要についてご紹介します。
日雇い派遣って何のこと?
日雇い派遣とは、短期間(通常は30日以内)の派遣契約を結んで働く雇用形態のことです。スポット派遣やスポット、短期派遣、単発と呼ばれることもあります。
派遣労働者が、1日単位、もしくは数日から1週間程度の短い期間だけ雇われ、特定の企業や業務に派遣されて働く働き方を指します。
日雇い派遣が禁止された理由は?
2012年の労働者派遣法改正により、日雇い派遣は原則禁止となりました。
この変更は、日雇い派遣に関連するさまざまな問題が浮き彫りになったことが背景にあります。日雇い派遣が禁止になった理由としては以下があります。
雇用の不安定さ
日雇い派遣は短期間の雇用であるため、労働者は安定した収入や雇用が保証されない状況にありました。雇用期間が短いため、労働者が継続して仕事を得られない場合、経済的に困窮するケースが多く、社会的なセーフティーネットが機能しにくいとされました。
待遇が不安定
短期間の契約であるため、派遣労働者が正規雇用者と同等の待遇を受けられないことが問題視されました。また、社会保険への加入ができない場合も多く、生活の安定が難しくなるとの懸念もありました。
労働者の保護不足
派遣契約が短期間のため、企業側にとって労働者の教育や福利厚生に対する責任が薄れやすく、労働者が適切な保護を受けにくい状況が生じていました。この結果、労働者の安全衛生や権利が十分に守られないケースが多発しました。
これらの理由から、2012年の法改正で日雇い派遣の原則禁止が導入されています。
日雇い派遣が認められる条件と職種は?
日雇い派遣は原則禁止されていますが、特定の条件下では例外的に認められることがあります。
日雇い派遣が認められる条件とは?
60歳以上の労働者
60歳以上の高齢者は、生活の状況や雇用機会の制約があるため、例外的に日雇い派遣が認められています。この年齢層では、短期間の労働を求めるケースが多く見られるためです。
学生(昼間学生に限る)
昼間に学業に従事している学生(昼間の学生)は、日雇い派遣が可能です。学生は学業を優先するため、長期的な雇用が難しい場合が多く、日雇い派遣という柔軟な働き方が許可されています。
副業として働く人(本業が収入の主たる源泉である場合)
本業を持っていて、副業として日雇い派遣を希望する場合も例外として認められます。主な収入源は本業であるため、日雇い派遣が収入の補助的な役割を果たす場合に限って許可されています。ただ、年収の総支給額が500万を超えている(かけもちは不可)必要があります。
世帯収入が500万円以上である者の配偶者
家族に生計を担っている人がいる場合(配偶者が主要な収入源であるなど)は、日雇い派遣が認められます。
これらの労働者に対しては、日雇い派遣が認められていますが、それ以外の労働者については原則として禁止されているのが現状です。日雇い派遣にネガティブなイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、人によっては必要な働き方のひとつでもあります。上記のような条件に該当する方は、働き方のひとつとして検討しても問題ないでしょう。
日雇い派遣が認められる業務とは?
上記の条件で日雇い派遣は認められているとご紹介しましたが、どんな仕事でも可能ということではなく、職種が限定されています。日雇い派遣が認められているのは、以下の18職種です。
・ソフトウエア開発
・機械設計
・事務用機器操作
・通訳、翻訳、速記
・秘書
・ファイリング
・調査
・財務処理
・取引文書作成
・デモンストレーション
・添乗
・受付、案内
・研究開発
・事業の実施体制の企画、立案
・書籍などの製作、編修
・広告デザイン
・OAインストラクション
・セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
日雇い派遣を検討している方は、働きたい仕事が上記に含まれているか確認しておきましょう。
日雇い派遣と単発バイトの違いは?
日雇い派遣と似た働き方として、単発バイトがあります。ここでは、それぞれの違いについてご紹介します。
雇用主の違い
日雇い派遣
日雇い派遣の場合、労働者は派遣会社に雇用され、派遣会社が労働者を派遣先企業に送ります。派遣会社が雇用主となり、派遣先企業で実際の業務を行うため、給与の支払いなどは派遣会社から行われます。労働者と派遣先企業の直接の雇用関係はありません。
単発バイト
単発バイトは、労働者は直接、勤務先企業に雇用されます。つまり、雇用主はバイト先の企業であり、業務内容や賃金、勤務時間についてはバイト先と直接契約します。派遣会社は介在しないため、雇用主と働く場所が同じです。
雇用範囲の違い
日雇い派遣
派遣先は多様で、さまざまな業種や職場に派遣されます。派遣会社が依頼を受けて労働者を異なる派遣先に送り出すため、さまざまなバリエーションの業務・職場を経験できます。
単発バイト
単発バイトは、決まった期間や1日単位で特定の企業や場所で働きます。勤務先はバイト先の企業のみであり、単発の契約が終われば別の企業と新たな職場を見つける必要があります。
日雇い派遣と単発バイトは、雇用主や雇用範囲にこのような違いがあります。では、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのか以下でご紹介します。
日雇い派遣と単発バイトのメリット・デメリット!どちらがおすすめ?
日雇い派遣と単発バイトのメリット・デメリットについて解説します。
日雇い派遣のメリット・デメリット
【メリット】
自由な働き方ができる
日雇い派遣は短期間の契約であるため、自分の都合に合わせて働く日を選べるという柔軟性があります。特に、ほかの仕事や学業の合間に働きたい人には便利です。
多様な職場で経験が積める
日雇い派遣は、さまざまな企業や業種で働く機会があるため、短期間で多くの職場や仕事内容を経験できます。新しいスキルや知識を習得するチャンスも増えます。
非公開求人の紹介を受けられる
派遣会社に登録しておくと、一般的な求人サイトでは掲載されない非公開の求人を紹介してもらえることがあります。自分では探せない、良質な職場・仕事との出会いがあるのが、バイトとは異なるメリットといえるでしょう。
派遣会社からアドバイスを受けられる
派遣社員には、勤務先を熟知し、経験や希望を加味したうえで細やかに就業までをサポートしてくれる担当者が在籍しています。はじめての方でも安心してはじめることができるでしょう。
【デメリット】
継続して仕事をしたい場合は、次の仕事を確保する必要があります。長期業務と比較すると安定した収入が見込めないことが多く、長期的な計画が立てにくい点がデメリットです。
また、日雇い派遣は短期間の労働が多いため、専門性の高いスキルを身につけたい方や、長期的なキャリアを積み上げるのは難しいことがあります。
単発バイトのメリット・デメリット
【メリット】
短期間で働ける
単発バイトは1日や数日で働けるため、長期間拘束されることなく、短期間で収入を得ることができます。時間に余裕がない学生や主婦にも向いています。
気軽に始められる
単発バイトは未経験でも応募可能な仕事が多く、特別なスキルがなくてもすぐに働けます。働きながら学べることも多いため、気軽に新しい仕事を始めることが可能です。
自由なスケジュール調整が可能
自分のライフスタイルに合わせて、働く日や時間を調整できるため、予定に合わせた働き方がしやすいです。特に、忙しい時期とそうでない時期にメリハリをつけて働けます。
【デメリット】
日雇い派遣と同様に、メインの収入源とするには収入が不安定になりやすいのがデメリットです。また、短期間のため、簡単な作業や補助的な仕事が中心になることが多く、長期的なスキルアップやキャリア形成には繋がりにくいと考えられます。
日雇い派遣も単発バイトも両方登録するのがおすすめ!
このように、日雇い派遣にも単発バイトにもメリット・デメリットがありますが、メインの収入源があるという方にはどちらも便利な働き方といえそうです。
どちらを選ぶか迷うという方におすすめなのは、両方に登録しておくということ。上述したように、日雇い派遣に登録すれば、職場や就業環境、仕事内容を熟知した派遣会社からのアドバイスを受けることができるほか、単発バイトアプリなどには掲載されていない独自の就業先を提案してもらうこともできます。
また、少し先の日程で予定を確定できる、バイトよりも時給が高いことが多いなどのメリットもあります。仕事の幅を広げる、就業先を多く確保するといったことにもつながるので、ぜひ両方使うという選択肢を検討してみてください。
日雇い派遣を検討する際に気をつけるべき注意点は?
日雇い派遣に登録したことがないという方は、登録の際に以下のポイントに注意しましょう。
日雇い派遣の例外に業務・人に該当しているか確認する
まずは、日雇い派遣が認められる条件に自分が該当しているかどうかを確認しましょう。また、扶養内希望など、収入上限がある場合は残りどのぐらい収入が得られるか確認しておく(扶養を超えてしまう可能性があるため)ことも大切です。
コンプライアンス意識の高い派遣会社であるかどうかを確認する
日雇い派遣として働く場合、派遣会社のコンプライアンス意識が高いかどうかをしっかり確認することが重要です。労働者として適切な待遇を受け、安心して働くためには、派遣会社が労働法や規制を遵守しているかどうかを確認しましょう。法令を遵守しているか、労働条件の説明が明確か、社会保険や福利厚生に加入できるかなどを、派遣会社のWebサイトなどでチェックしましょう。
まとめ
日雇い派遣と単発バイトは、どちらも似た働き方ですが、雇用主や雇用範囲などの点で違いがあります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、おすすめはどちらも有効活用すること。特に、専門スタッフのアドバイスを受けられる、時給がバイトよりも高い、就業先を多く確保できるなど、日雇い派遣はメリットが多い働き方です。単発バイトは検討している方は、ぜひ日雇い派遣への登録も同時に検討してみてください。